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名古屋地方裁判所 昭和61年(わ)958号 判決

本店所在地

愛知県西春日井郡清洲町大字清洲二六一一番地の一

秋田運輸株式会社

右代表者代表取締役

後藤繁樹

本籍

愛知県西春日井郡春日村大字落合字弐屋敷四拾五番地

住居

右同所

会社役員

後藤繁樹

昭和一五年四月一日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官多和田洋二出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人秋田運輸株式会社を罰金二、五〇〇万円に処する。

被告人後藤繁樹を懲役一年に処する。

被告人後藤繁樹に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人秋田運輸株式会社(以下「被告会社」という。)は、愛知県春日井郡清洲町清洲二、六一一番地の一に本店を置き、自動車運送業を営むもの、被告人後藤繁樹は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人後藤繁樹は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、燃料油脂費の架空・水増し計上をするなどの方法により所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五六年八月一日から同五七年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が六、六一二万二、二三五円で、これに対する法人税額が二、五七四万一、八〇〇円であるのに、同五七年九月三〇日、名古屋市西区押切二丁目七番二一号所在の名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五〇七万六、二二四円で、これに対する法人税額が四五万三、三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二、五二八万八、五〇〇円の法人税を免れ

第二  同五七年八月一日から同五八年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億一八一万三、三三四円で、これに対する法人税額が四、〇六一万一、〇〇〇円であるのに、同五八年九月三〇日、前記名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、九九四万四、七六八円で、これに対する法人税額が六二万六、一〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額三、四三八万四、九〇〇円の法人税を免れ

第三  同五八年八月一日から同五九年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が六、〇〇八万二、九三九円で、これに対する法人税額が二、三九八万六、七〇〇円であるのに、同五九年一〇月一日、前記名古屋西税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、五〇〇万二、二四六円で、これに対する法人税額が八七九万七、一〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一、五一八万九、六〇〇円の法人税を免れ

もって、それぞれ不正の行為により法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人後藤の当公判廷における供述

一  被告人後藤の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  被告人後藤及び信田克己共同作成の各上申書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の査察官調査書三通(検甲第一五号証ないし第一七号証)

一  長尾基光(五通)、鈴木弘一郎(三通)、長谷川孝(三通)、山崎美栄子(二通)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  長谷川孝、山崎美栄子の検察官に対する各供述調書

判示第一事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲第二号証)

一  大蔵事務官作成の証明書三通(検甲第六号証ないし第八号証)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲第一四号証)

判示第二事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲第三号証)

一  大蔵事務官作成の証明書三通(検甲第九号証ないし第一一号証)

判示第三事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲第四号証)

一  大蔵事務官作成の証明書二通(検甲第一二号証、第一三号証)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲第一九号証)

判示第二、第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲第一八号証)

(法令の適用)

罰条

被告会社につき

各法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項

被告人後藤につき

各法人税法一五九条一項

刑種の選択

被告人後藤につき各懲役刑

併合罪の処理

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(被告人後藤につき犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定加重、被告会社につき各罰金額を合算)

刑の執行猶予

刑法二五条一項(被告人後藤につき)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 笹本忠男)

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